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180 捨てる勇気

180 捨てる勇気

受験が間近になった時、出来ない問題に出くわして焦った、そんな経験はありませんか?『どうしてもこの問題が分からない』と深夜に私の携帯へ電話をかけてきた生徒さんも過去何人もいました。受験生なら全ての問題が解けて一安心したくなる気持ちは理解します。しかし現実問題として全ての問題が解けるようになることは極めて稀なのです。

公立高校への進学を希望する生徒さんは特に注意しなければならないのですが、公立高校入試の問題は全県統一問題で合否が決定します。つまり『偏差値70を超える受験生も偏差値が40に満たない受験生も同じ問題を解く』ことを求められるのです。

つまり、発展的なものから基本的なものまでまんべんなく出題されなければなりません。基本的なものばかり出して全員満点、もしくは発展内容ばかり出して全員0点となってしまうと入試制度そのものが機能しなくなってしまうからです。

千葉県高校入試数学の問題は全国的に見ても高難度の出題がなされ、年度によっては90点以上取る受験生が全体の1%に満たないことがあります。しかし、そうでもしないと上位校で合否を判定する材料が得られない(つまり点差が付かない)なら今の形もやむを得ないと思います。

受験生が取らなければならない対策として『この問題は取り組む』『これは捨てる』という取捨選択を普段から出来るようにして欲しいのです。そしてその判断が正しいかどうかを第三者に判断して貰い、模試などで試していくのです。入試は満点を取らなくてはならないものではありません。従って『こことここを取れば合格点』というポイントを押さえられるようになって欲しいのです。

捨てる判断をするような問題(千葉県では『作図』が有名ですが)で余計な時間を取られ、本来得点できるような問題に手が回らない見直しに十分な時間が取れないとなれば本来の力が出せたとは言えません。捨てるべき問題に無駄な時間を割くぐらいなら得点すべき問題に漏れや取りこぼしがないか確認する方がずっと建設的です。

ここで重要な試験テクニックを一つ。『この問題は取り組む』『これは捨てる』という判断をするために必要なことについてです。試験が始まると名前を書いて大問1から順に解き進めてはいけません。名前を書いたらまず問題用紙の全体に目を通しましょうその時に『①見ただけで解けるような問題』『②考えれば・時間をかければ出来るかな・・・と言う問題』『③厄介な問題(問題を読んでも意味が分からないもの)』の分類をした上で解き進めればいらぬロスを最小限にすることが出来ます。

本章と併せて小欄15章『試験テクニック ~試験の時間配分~』も併せてご参照下さい。