既に報道などでご存じの方も多いと思いますが、千葉県公立高校入試が平成32年度実施の入試(平成29年度に小学6年生となっている児童の高校入試)から前期後期型入試を改め、一本化する可能性が出てきました。現時点(2017年11月時点)では『県教育委員会が有識者会議の答申を受け』という段階ですので最終決定ではありません。以下に記すことはあくまで見通しとご理解下さい。
現行制度の問題点などについては喧しく論議されているところなので割愛します。しかし、間違いなく言えることはこの大幅な制度改革によって入試が激変する点です。これについては異論なきところです。言い換えれば『今までの経験』や『これまでのデータ』への依存度を下げなくては対応ができなくなるのです。
それでは、入試制度が変わることにより、どのような変化が起こるのでしょうか。現時点で予測されていることをいくつか挙げていきましょう。
第一に公立の人気序列化が加速することが予想されます。特に都市部の中堅上位~上位校は高倍率が高止まりすることが予想(現在でもトップ校は高倍率高止まりですが…)されます。これらは必要以上の倍率となることが予想されるため、十分な予測と対策を講じる必要があります。
第二に一発勝負となるため、堅実指向が強まることが予想されます。そうなると『公立第一・私立第一、その上で併願私立』という受験方法が一般化され、私立上位校の倍率が上がることも予想されます。
さらに、現行の改革案では入試日程は2日間とし、受検生の負担を考慮してそれぞれの日程で3科目・2科目の学力試験を実施することも検討されています。この点から学科試験内容そのものが大きく変革することも予想されています。折しも大学入試の改革を迎え、高校入試も大きな変革を求められる時期です。それに順次対応が求められる内容に変更となることが予想されています。
学科試験内容の変革については2018年度より段階的実施の『新学習指導要領』も大きな影響を及ぼすものと思われます。小学校英語の科目化(5・6年生)、中学校英語の単語数及び文法事項の増加、数学における『データ活用の内容充実』と国語における『情報の扱い方』新設は与えられた情報を読み解く力や処理する力が求められます。これらを正確に読み解いていくためには小学校低学年から相応の読書習慣も求められます。このことと関連しますが、小学校~中学校での語彙指導も大きく変わります。『意味が分かる』から『自分の表現として使える』状態まで昇華させなければなりません。
理科社会においては『暗記型の学習』から『その事象はなぜそうなるのか・そうなったのか』を検証する学習へ大きく変わることが予想されます。近年の入試でも一問一答式の設問から記述式の設問への移行が見られます。記述問題そのものについての出題傾向が変わり、より深い理解を求められる問題へとシフトすることも予想されています。そうなると『理科社会は暗記科目だから』と試験前だけ勉強する姿勢を大幅に変更せざるを得ません。
以上、現時点での見解を述べました。繰り返しとなりますが現時点では有識者会議の答申なので決定ではありません。この点についてはご理解頂ければと存じます。
LS WILLでは現在、情報収集に動いています。実際に決定しているものではありませんが、決定してからの対策準備では後手に回ってしまいます。情報戦は先んじてこそ価値があります。実際に決定した段階ですぐに動き出せる準備も必要です。これは塾側だけではなく、実際に受験する生徒さんやご家庭にも必要な準備なのです。