column_archive_header_s
137 真剣になるから迷うのです

137 真剣になるから迷うのです

秋が深まる頃になると受験生の目の色が変わってきます。今までは何となく塾に行く何となく学校で勉強する・・・だったのが、学校の三者面談で志望校を聞かれ、模擬試験の結果を見る機会も多くなって現実味を帯びてきます。『やらなきゃ!』と思う時期なのです。

時を同じくして、『今の志望校で良いのかな?』と迷う受験生が増える時期でもあります。自分の将来や進路は本当にここが最適なのか、もしかしたら目指すべきところは別の学校なのではないか・・・等々。

なぜこの時期に迷う受験生が出るのか、答えは簡単です。真剣に自分の将来を考えているからです。それまでは『○○ぐらいの学校で良いんじゃない?』という考えから『行きたい学校は○○!』と絞りきらなければいけない錯覚に陥るのです。その代表格が中学3年生の『三者面談』です。

何も三者面談で進学する学校が決まるわけではありません。しかし、なぜか三者面談で宣言した学校が最終志望校・・・となっているケースがあまりに多く見受けられます。三者面談で伝えた第一志望は11月時点の話であって、それを2~3ヶ月後の受験まで変更するなと言うのも変な話です。

塾側から見てもその期間に偏差値を10以上伸ばす生徒さんをたくさん見てきました。『こんなにがんばれたんだから“本来行きたかった本当の第一志望”に変えようよ!』と提案することも珍しい話ではありません。しかし、多くの生徒さんは『三者面談で担任の先生に○○高校が第一って言ったから・・・』となるケースが何と多いことか・・・

過年度の生徒さんですが、入塾時からずっと志望校が変わらなかった生徒さん(公立上位校を第一志望に上げていました)の11月の定例保護者面談を行った際、『私立に変えようかという話が出ている・・・!?』とのことでした。トータルで考えると目指す将来像に最短距離で近づけるのはそちらのように思う、とのことでした。

その生徒さんも目の色が変わってきた時期でした。そこで真剣に考えて、その上でご家族と話し合って・・・との経緯は容易に推察できます。しかしそれが本来の姿だと思うのです。

その生徒さん、それまであまりに当初の志望校に拘泥(こうでい)していたため、私立高校の知識が全くありませんでした。滑り止め、というニュアンスでしか見ていなかったのです。そこで私からその生徒さんに合うであろう学校名(公立第一志望と同等のレベルの学校でした)を2~3挙げ、検討し、学校見学に行くよう伝えました。

結果的にその生徒さんは私の挙げた学校のうちの一つに進学し、現在は『子供の頃からの憧れだった大学の』大学生として将来の自分を掴み取るために日々を送っています。現在の姿があるのは中学3年生の秋、真剣に自分と向き合って進路を選んだから、とも言えるのです。