プロアスリートや芸術家、その他その道のプロフェッショナルのインタビュー記事によく出てくる言葉として『集中』『集中力』があります。元メジャーリーガーの松井秀喜選手やサッカーの長谷部誠選手もよく使う言葉です。
一芸に秀でた人ほど集中力が持続すると思われていますが、実際のところは違うようです。医学的にも脳科学的にも集中力は持って20~30分が定説となっています。では松井選手や長谷部選手は1日20~30分の集中を大切にしているのでしょうか。恐らく違うと思います。
人間の脳は緊張と弛緩を繰り返しています。言い換えれば集中する時間とリラックス時間の繰り返しを続けているのです。つまり彼らはそれをきちんとコントロールし、1回20~30分の集中を意図的に繰り返すことを意識しているのです。
学校の授業時間は多くが45~50分です。それに対して学習塾は90~120分です。これを集中力が続かないので45分授業に短縮するとどうなるでしょうか。45分でも集中し続けることは…殆どの生徒さんができないのではないでしょうか。
学校の授業は登校してすぐに始まるわけではありません。朝読書や朝の会など、登校してから30分程度を経てから授業となります。従って授業に入る準備、言い換えれば集中する準備ができています。だから授業にはスムーズに入ることができるのです。
塾ではなかなか授業に入る心の準備ができない生徒さんが多く見られます。しかしこれは自然なことです。そういったこともあるので多くの塾は授業開始時に小テスト(LS WILLでは漢字・単語の小テスト)を行い、集中する準備を行うのです。
また、授業中に学校の進度や学校で解らない問題がなかったかを確認することがあります。場合によっては雑談になったり受験や進路の話になることがあります。これはそれらの話をすることも目的ですが、限界に近付いた集中を一旦ほぐし、再スタートさせる意味も持っています。
そう考えて頂くと『集中が持たない』ことに対する対処も可能になるのではないでしょうか。
私の経験上での話を一つ。『週1コマ120分』と『週2コマ60分』では前者の方が成果・進度共に優れていました。これは『集中するための準備時間が1回で済むか、2回必要か』が起因していると思います。
集中力が持つかどうかではなく、集中することをコントロールできるかに論点が移れば対処はさほど難しくないのです。また、対処方法も生まれてきます。
『長い時間は集中できない』から『自分で集中をコントロールするためにはどうしたら…』に進むことは実は非常に大きなことなのです。