もうかなり前のことになりますが、保護者面談でお母様に言われたことで強く残っている言葉があります。『先生の授業運営はあまり教材を使わないんですね』『上の子の塾はもっと使っていたんですが、足りなくありませんか?』
上のお子さんが通っていた塾は季節講習ごとに1科目2~3冊、それを3科目受講すれば6~10冊使う塾だったそうです。肯定はしませんが、標準的な運営だと思います。
私は『一冊の教材を使い切る』ことを念頭に授業運営を行っています。通年教材1冊を軸にして、不足分は補強の補助教材を使うようにしています。従って季節講習で教材を追加しないことも珍しくありません。
あまりあちこち手を伸ばして多くの教材を使ってしまうと重複・遺漏といった無駄が生まれます。一冊の教材を仕上げ、それでも足りない、もしくは解らないところを補助教材で補うようにしています。
それでも多くの教材が必要になる時期があります。それは受験前の時期です。過去問・傾向問題集・融合問題対策・記述問題対策などどうしても外すことのできない教材です。また、前の年に使ったものを使い回すわけにも行かず(傾向は例年変わるので・・・)難渋する時期です。
多くの受験生・多くの学習塾はテキストを一度やったら終わりでお蔵入り、としているようです。しかし私は何度も何度も(特にドリル系のテキストは3年間で何回も回転させます)繰り返し使うように指導します。
その上で2回目3回目にやるときは“前の回にやって間違えた問題・解らなかった問題”に重点を置いて解き進めるようにして貰います。中には1回目解けたものが2回目に解けなくなることもありますが、解決は難しくありません。
一冊のテキストを3回5回と解き重ねることにより学習は完成します。無駄な労力も少なくなります。
『目指す高みへの最短距離』だと思うのです。
また、蛇足ながら…という話ですが、教材は他の出版物に較べて非常に高価です。先日も次年度の教材見本市に行って色々な教材を実際に見てきました。使いたいな・・・と思う教材もあったのですが、値段を見てすぐに手を引っ込めました。
その話を生徒さんにしたら『先生ってさ・・・ケチ?』と思わぬ言葉を貰い、返答に窮しました。