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103 公立高校倍率 ~数字のマジック~

103 公立高校倍率 ~数字のマジック~

数字のマジック、という言葉を聞いたことがありますか? 例えば同じ値段なのに1,980円(税別)と2,138円(税込)では1,980円(税別)の方が安く感じてしまうことです。

受験生でなくても最近の千葉県公立高校入試は高倍率が続いていると感じる方が多いのではないでしょうか。しかしこれは本当に高倍率なのでしょうか。

公立高校入試で倍率が2倍を超えると一般的には難関校、人気校に分類されます。しかし千葉県公立高校の入試においては以下の状況が起こっています。

平成28年度入試資料より
 前期の全県平均倍率…1.76倍
 後期の全県平均倍率…1.43倍

しかし、生徒不足で統廃合が行われている現実も踏まえて考えると受け皿が少な過ぎる訳ではありません。

平成28年度公立高校全体定員…34,040名
平成28年度公立前期受験者数…39,715名
      
(つまり単純倍率は1.17倍)

こう考えると昨今の倍率はおかしいのではないか、そんな疑念が持たれます。しかし、そこが数字のマジックなのです。以下の例で確認して下さい。

【例】
 ○○高校の学年定員は300名です。それに対して志願者が360名いました。単純な倍率は1.2倍です。
 前期入試では定員の60%募集となるため180名の募集枠に360名が受験しました。
 ⇒倍率は2倍、不合格者は180名です。
 後期試験では定員の残り40%募集となるため120名の募集枠に180名が受験しました。
 ⇒倍率は1.5倍です。

『1.2倍』と聞くとがんばろうと思える生徒さんでも『2倍』と聞けば怖気づいてしまいますよね? だからこそ募集枠(特に前期募集枠)と全体の実倍率について注視し、見せかけの高い倍率に惑わされることなく試験に臨むことが大切なことなのだと考えます。

当校では『前期・後期を含めて公立高校受験』と考えています。従って一部の進路指導にあるような『前期絶対主義』は基本的には取りません。(専門学科など募集自体が前期のみのケースは除く)だからこそ前期で合格しても後期入試直前までをワンセットにして学習を進めていく計画を立案しています。

因みに公立高校の現役教員は入試に関わった場合(部活動種目で自己表現の採点を行った、など)を除き、前期後期のどちらで入学したかは把握していません。しかし、模試業者の統計で見ると後期試験の方が要求値は甘くなっていることが解ります。従って『どうしても行きたい学校だがまだ点数が厳しい』と感じているなら前期後期をセットで考えた受験で志望校を勝ち取ることも選択肢として持っておく必要があります。