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71 後悔を前倒しする

71 後悔を前倒しする

毎年受験直前になると『もう少し時間があったら…』という気持ちになる受験生が出てきます。いや、受験生なら試験の前にそのように思うのは自然なことだと思います。『早く入試にならないかな』と笑顔で言える受験生はほんの一部だと思います。ここまでの話は皆さんに共感を頂くことが出来ます。しかし学習塾側からするとそれは受験を迎える遙か以前(例えば…入会した当初から、等)から予見していることなのです。

LS WILLに入会される生徒さんにおいても例外なく言えることですが、勉強でつまずきが生じてしまってから補正することはものすごく大変です。特に中学生になって『定期テストで壊滅的な点』となってからの入会では2ヶ月3ヶ月程度の集中学習では追いつきません。場合によっては小学校の勉強まで遡らなくてはならず、その間も学校の勉強が進んでいるのでキャッチアップまでに1年掛かるケースも珍しくありません。通常期(学校の授業後に塾に来る期間)だけでは追いつかず、長期休暇の特訓講習を入れることで何とか追いついて…という状態でも僥倖と言うべきでしょう。この状態は学習塾サイドにおいても本意ではありません。

この場合の『大変』なのは学習塾側ではありません。大変なのはあくまで追いつこうとする生徒さんです。なぜなら『現在の学習箇所+他の教科』と言う通常の学習に加えて『つまずき箇所』と言う余分な単元の勉強をしなければなりません。更に言えばつまずき箇所がある教科は少なからず苦手意識や忌諱感があり、復習を含めた学習は精神的にも辛くなります。

学習塾の運営技術としてつまずき箇所のキャッチアップと言う手法を取ることは決して特殊なことではありません。ただ、生徒さんにより強い負荷が掛かることは承知しています。だからこそ、それを安易に『簡単に追いつけますよ。大丈夫ですよ。』とは言いにくいでしょう。

これらの背景がある中で冒頭の後悔をしないために出来ることは何でしょうか? 答えは簡単です。早めの対処、これに尽きます。少しでも不安要素があるときは早々にその芽を摘むことです。

例示すると、小学6年生算数で習う『速さ』という単元、苦手にする生徒さんが非常に多い単元です。仮にこの単元が解らなくなったとしましょう。
小学生の間であればその単元をきちんと見直すだけで問題はありません。その単元に費やす時間だけ掛けられれば苦手意識は払拭できるでしょう。
中学1年生、この時期になれば小学生の範囲が完成させること、その上で『小学校で習った速さを活かして解く中1の問題』まで克服しなければなりません。つまり小学生の時に費やした時間の倍の時間が掛かります。具体的には『文字と式』『一次方程式』で速さの考え方が解らないために文章題がお手上げ、となっていることが非常に目立ちます。
中学2年生ではさらに連立方程式文章題(この単元の立式は非常に多くの生徒さんが苦手としています。入試レベルでも重視される単元です)が、とさながら無間地獄のように取り組まなくてはなりません。『たった一箇所解らないだけ』が後々に大きな後悔となるのです。さながら雪だるま式という表現がピッタリです。だからこそ苦手意識の萌芽が感じられたらその時点で早急な対処をしなければならないのです。

『後悔を前倒しする』という言葉は大学の先輩に教えて頂いた言葉です。『その時になって後悔するなら、現時点でやれることや予見できることをやって後悔しないようにする』という造語だそうです。この言葉を聞いた時の自分は未熟すぎて『ずいぶんネガティヴな言葉だな』としか思いませんでした。しかし今になって味わってみると入試という期日がある勉強にも期日がある仕事にも必要な言葉だと思います。『準備』という言葉を解りやすく噛み砕いて説いているようにも感じます。