受験にフォーカスして考えるとき、作文力は欠くことのできないポイントです。千葉県公立高校前期選抜においては例年12点が、後期選抜でも10点という大きな設問となっています。
作文単元の全体像について、話を進めてみましょう。
公立入試に絞って話を進めます。例年作文条件については概ね同様となっているようです。
① 段落数の指定
② 字数の指定(通常は『●行以内』と表記されます)
③ その他条件 『文末の指示』(25年後期)、『資料を踏まえて』など
②の文字数は指定行数以内なら何でもOK、ではありません。行数から文字数を計算し、90~95%程度になるよう文章をまとめなくてはなりません。また、『▲行以上●行以内』として出題されることもあります。受験生心理として『▲行書けたらそれでいい』としがちですが、本来の出題趣旨から考えると『●行分の90~95%』と考える方が健全です。
段落数の指定が為されて場合によっては構成まで指定されていることがあります。その場合は構成に必要以上の時間を掛けることなく解き進めなければなりません。2段落構成で前段が資料からの読み取り、後段が体験談 or 意見などの指定があれば大まかな構成で書き始められますね。試験は時間との闘いです。無駄な時間を排除する習慣も意識してはどうでしょうか。
次に『作文ではどのような文章・言葉を使うべきか』という課題について論議していきましょう。本来的には中学生(高校受験生)に対して出題しているものですので『中学生が本来使うべき・習得しておくべき言葉』が好ましいと言えますが…これは建前だと思います。試験で得点化しやすい言葉、反対に得点に響きにくい言葉は確かに存在するのです。それは採点方法に起因していると思います。
公立高校入試の採点は各高校で行われます。一定の答えが出る問題が殆どのため、専門以外の教員が丸付けをすることも稀ではないそうです。しかし国語の作文だけは専任の教員が行います。しかも人数を絞って(基準を一定に保つため、と言われていますが…)実施しています。その結果、どのような弊害(この場合、弊害とは言っても受験生が理解していればメリットになります)が生まれるのでしょうか。
最大の問題は一つ一つの答案をきちんと読み通せる時間が取れないことです。何度も読み直してやっと意味が通るような文章ではなかなか得点化できません。また、試験中に閃いた軽妙な言い回しも伝わらないことが多いそうです。つまり平易な解りやすい文章で書くことを普段から意識している受験生には非常に有利に働くことが解ります。
同様の観点から『誤解されやすいような言葉は使わない』ことも重要なことです。例えば『心配りの出来る人』という表現はうっかりすると『心配の出来る人』と読み違えられませんか? 品のある言葉遣いである『心配り』も試験では避けるべき表現です。従って『まわりに気を遣う人』などの表現に変えることが望ましいでしょう。一般的に、言葉においても平易で解りやすい言葉で表現された作文の方が高い評価を得られています。また、言い換えという点では似たような問題で『この言葉で書き進めたいけど漢字が解らない』というケース、実は非常に多いのです。作文ですから表現を変えることができます。そこに気づけることが大切なのではないでしょうか。上記を例に取ると「まわりに気を『遣う』人」の『遣う』が漢字で書けないとき、『まわりに配慮できる人』としてもいいですし文章内容に応じて『まわりを明るくする人』などの変化をさせても良いのではないでしょうか。少し脱線していますが…
以上のことから学校授業(評定)では難しい文章表現ができて難解な言葉を知っている生徒さんの方が高い評価を得られるのに対し、受験では必ずしもそうならないことを知るべきですね。作文にはあまり語彙力を発揮しない方が良い、とも言えるのではないでしょうか。
最後に採点方法ですが、千葉県公立高校入試では基本的に減点法で採点しています。従って満点を取ることは難しいことですが、指定の形式で書き上げられれば最低限の点数を得ることが出来ます。因みに減点項目やその点数については各校の判断に委ねられています。そんな状況なら着手しない選択肢はないはずなのですが… 毎年10~15%程の受験生が全くの白紙で提出しているのが現実です。それってかなりモッタイナイと思うのですが…
12点問題で満点を取ることは難しいことですが、半分の6点を取ることは十分に可能なことです。受験生ならそんな大切な箇所を捨てちゃう訳にはいきませんよね!?