昨今の学校教育では授業中に姿勢のご指導をなさる先生が少なくなったと感じます。その結果、塾でも机にへばりつくような姿勢、反対に椅子に深々ともたれかかっている姿勢などを目にします。
小欄で何度か触れていることですが、塾での取組みでは『見た目』の優先順位は末尾にすべきと思います。それならなぜ、姿勢について言及するのでしょうか。
机にへばりつくような姿勢は首・肩・腰など体に大きな負担が掛かります。それが習慣化することにより長い時間机の前に座ることが出来なくなります。それは勉強の効率として良いものではありません。首や肩が凝った状態で根気の必要な単元に立ち向かうのは難しいことです。だからこそ正しい姿勢を習慣化するために日頃から意識すべきなのだと思います。また、前に伏せった姿勢は近視の原因ともなりますので事態は深刻です。教室ではそのような生徒さんを見かけたときに『手の臭いを嗅ぎながら勉強するな(笑)』と冗談交じりに注意します。
反対に背もたれに寄りかかって、いわばふんぞり返って問題を解く生徒も見られるのではないでしょうか。この姿勢は勉強に集中しているのかなと疑問に思ってしまいます。これについて、私が参加した勉強会で教育学専攻の先生が仰っていたお言葉ですが、「子供はこの姿勢の方が集中すると言い訳をする。だから私は『この問題が5分以内で解けないと一ヶ月間宿題を3倍にする』と宣言すれば背にもたれ掛かって解く生徒はいない。つまりふんぞり返って座っているのは問題を解くこと(=勉強)が目的ではなく座ることが目的で問題を解いているのは副次的なものに過ぎない」とのことでした。心理学的にも深く座ることは作業効率を下げるそうです。子供さんが『この方が集中する』と反論することがあるかと思いますが、それで勉強の効率が上がるのか…という問題が出てきます。
正しい座り方の一例として、椅子の高さは机の天板が鳩尾(みぞおち)の高さになるよう調整し、両手の肘が机の縁より前に行かないように座ることだそうです。そうすれば肘をつくことは不可能となり、背筋を真っ直ぐに立てて座らなくてはならなくなります。