毎度毎度政争の道具にされる教育、現在は高校無償化が俎上に上がっています。しかし現状としてとても難しい問題をはらんでおり、現場の意見としてはそれを解決しないと前に進まないように思います。
現在の高校進学率は都市部ではほぼ100%、全国的に見ても90%後半を推移しています。国際的に見ても実はアメリカやイギリスより高い割合を保っています。オックスフォードやケンブリッジなど世界的権威を持つ大学のある国より高い教育水準、と考えることもできるのです。
日本国内では少子化が喫緊の課題として挙げられます。結果として定員に満たない高校が続出しています。千葉県の県立高校でも9学区あるうちの5~9学区は軒並み定員割れを起こしています。
千葉県では魅力ある公立高校づくりの一環として募集が難しい地区の学校を統合しようという動きが顕著です。そうなるとその学校が築いてきた歴史がなくなってしまいます。
これ、情緒的なものばかりではありません。例えば大学の指定校枠を持っていた高校が統廃合されるとその枠は必ず引き継がれるものではないからです。この枠は言わば大学の一存で決められるもの、残せる保証はないのです。
現在の少子化に対し、募集面では公立高校が私立高校の後塵を拝しています。つまり公立が大幅に出遅れているのです。都市部でさえこの状況なら郡部では推して知るべし…といった状況でしょう。
これは提言になってしまいますが…公立高校も『事前相談制度』を導入すべきだと思います。私立高校は12月中旬に事前相談を行い、ある程度の受験者とその合否を把握します。いわば『青田刈り』です。
一例を挙げるとAさんは公立第一志望、私立を併願で受験します。本来であれば両方の入試対策を行うべきですが、私立は併願推薦で確約が取れているため、公立に向けての勉強に専念できます。
一方のBくんは勉強に自信がないので現時点の成績で確約が貰える単願推薦(学校によって呼び方は変わります)で一足早く確約を得て年明けからは高校入学の準備をします。
高校入試は『公立第一』『私立第一』と大別することができます。多くの私立高校は事前相談を行って事前に合否を知ることが出来ます。そうなると私立高校は安定経営、公立高校は行き当たりばったり経営という状況になります。
勿論私立高校の中にも事前相談を行わない学校があります。それらはいわゆる有名校・進学校・トップ校と言われているところです。言うまでもなくそれらの学校は毎年大人気。そうなると定員割れの心配も無用です。
同じようにすればいいと思います。つまり公立高校でも中堅以下の学校は事前相談システムを導入してある程度の生徒数を確保する、上位校はこれまで通り競争原理で合否を決める、と。。。
一私塾がすべき提言ではありませんが、生徒数が大きく偏った現状と公立高校の急激な地盤沈下に対して何らかの打開策をしなければならぬ時期です。
巨視的に見ればそれを実践できれば教育に対するお金(つまり税金です)を無駄なく配分することが可能となります。部活動の委託先問題や教職員の待遇にも大きく資するものとなるはずです。
そしてなにより、それらを享受する小中学生・高校生がより質の高い教育を受けることにも繋がるのではないでしょうか。つまり国力の増強にもつながるのです。
日々受験生と向き合い、本来なら目の前の問題を理解して貰うことに集中すべきかもしれません。しかしそれは目先のことしか見ていないとご指摘を頂くかも。。。それなら高校受験を含めた後期中等教育に対して何らかの改善を望む声を上げることも必要かと思います。
その上で目の前で苦闘している受験生を全力でサポートしていきたいと思っています。
ガンバレ! 受験生!!