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763 品質と数量

763 品質と数量

私が一時期盲信していたMartin-Guitarsというアメリカのギター製作会社があります。今でも最上位のギターブランドとしての評価は変わりません。

このギターブランドを愛する著名ミュージシャンは数知れず、その上で我々音楽愛好家からも評価されるのであればその会社は誰もが大企業と考えるはず。しかしそれは違います。

この会社は今でも同族経営を貫く中小企業です。それは外部からの声(『もっと利益を上げろ』『原価率が高すぎる』など)を遮蔽するためと言われています。

その最たるものが表題です。この会社の社是として『Quality before Quantity』という一文があります。『品質は数量に優先する』と訳せば良いでしょうか。そこそこの商品を大量に作るより、誰もが納得する品質の商品を作り出すことを選択する、と読むことが出来ます。

しかしそれは大量生産によって生み出される利益を度外視することにもなってしまいます。その点について経営者の持論は実に意義のあるものでした。

数量で目先の利益を得るより高い品質のギターを販売することで将来の利益を得ることの方が遙かに有意義だ』

この言葉、物作りに限らず社会に存在する全ての会社が持つべき考え方だと思います。LS WILLとしても教室運営理念・営業理念にしたいと思っている言葉です。

会社員時代は会社からの指令としてどのような内容の授業を提供するかよりどれだけの量(コマ数)を提供できたかに重きが置かれがちでした。このことで会社側と言い争ったこともありました。

先日卒業生が来校した折に必要以上の受講を薦めなかったことに対して『センセーは欲がなさ過ぎるよ』と言われました。

その先輩、卒業後に予備校チューターのアルバイトをしたそうです。受験生に必要以上の受講を勧めるのは心が痛んだそうです。それは品質より数量を先に考えてしまった結果です。お互いにとってあまり気持ちの良いものではありません。

 

ただ、だからこそ必要なコマ数は絶対に受講してほしいと思います。慣熟がなされず、それを確認できない状態で進めることは無駄を生んでしまうことになるからです。

適正コマ数適正内容着実に積み上げていく。当たり前のことですがそれを愚直に実践し続けたいと思っています。