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464 一番喜んでくれるのは・・・?

464 一番喜んでくれるのは・・・?

2020年度の大学センター試験は例年になく熱い盛り上がりを見せています。これは良い意味ではなく、来年度からセンター試験が大きく変わる・その変わる姿が未だに見えていない、そんな理由から『今年で合格しないと!』という要らぬプレッシャーがかかってくることが原因です。そしてセンター試験を皮切りに受験シーズンが本格化していきます。

入試シーズンになると未だに思い出すシーンがあります。ある難関校にどうしても行きたい生徒さん、そしてその夢を何が何でも後押ししたい親御さん、私もその熱意に応えたくて必死になって指導したことがありました。毎日毎夜遅くまで残し、仕事を終えたお父様がお迎えに見えて・・・という日々でした。

試験日を迎え、全力を出し切れたようでスッキリとした声で電話報告してくれました。報告をくれた声や自己採点結果から結果は期待して良いのではと思い、発表日を待ちました。結果は・・・合格でした。合格発表を見たその足で教室に駆けつけてくれたそうです。電話で知らせるより教室に行って報告したい、そんな気持ちでお母様と一緒に教室まで来てくれました。

『センセー、合格したよ!』『この受験で一番応援してくれたのはセンセーだから・・・』との言葉、私は嬉しさを感じつつもそれを遮りました。『受験を一番応援してくれたのも、頑張った結果が合格となって一番喜んでくれたのもお父さんお母さんだよ。感謝の気持ちはお父さんお母さんに伝えるべきだよ。』と諭しました。

その生徒さんはお母様の方に向き直って『応援してくれて・・・ありがとう!』と頭を下げました。その姿にお母様は感激されて声を詰まらせていました。帰宅後、お母様よりお電話を頂き、『つい先日までは子供だと思っていたけど、受験を乗り越えて少し大人になれたようです。』との感想を持たれたそうです。

 

塾というポジションはお子さんに近い位置にいます。従って『一番応援してくれる』『一番心配してくれる』と思って貰いがち(ありがたいことですが・・・)ですが、一番応援してくれるのも一番心配してくれるのもやはりご家族だと思います。そんなことにも気付けるようになることこそ受験を通して大人になっていくことだと思います。

 

頑張れ! 受験生!