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282 小中学校にクーラーを!

282 小中学校にクーラーを!

2018年の夏は歴史的な猛暑が続いています。『心頭滅却すれば火もまた涼し』などと根性論を述べている状態ではありません。肉体的に危険な水準、生命に危険を及ぼすレベルにまで至っています。しかしこのような状態になっていても空調のない体育館で長々と校長先生の話を聞き…と言うことが半ば常態化していることに大きな疑問を感じます。

2018年夏の閣議決定で2019年度夏までに公立の全小中学校にクーラー設置を推進することが決定しました。これは遅きに失した感も否めません。また、運用における問題として『○○な時はクーラーを使用出来ない』などの縛りを作る学校が出てこないとも限りません。確かに無尽蔵に使ってしまえばエネルギーの無駄になり、教育的配慮に欠けるものとなりますが、その決まりに殉じたがためにクーラーを設置しても熱中症の事故が起こってしまう可能性も残ります。そのためにも運用基準を建前ベースで作らぬよう願っています。

また、教室や体育館では空調を効かせるのに、グラウンドは…? という話になります。夏休みの暑い盛りに一日練習と称して終日炎天下で活動する部活動も少なくありません。水分やミネラルの補給をきちんと指導したとしても事故に直結する可能性が非常に高い愚行です。ある大学の体育系学部が調査したところに依ると、中学生が終日気温30度前後の炎天下で部活動をした場合、約85%の生徒に熱中症の症状が見られたそうです。

熱中症は自覚症状が低い場合、ちょっとした疲労感などと勘違いして処置が遅れてしまうことが往々にして見られる怖い病気です。よく終日練習をして夕刻塾に通う生徒さんが『何だかだるいよ。部活がんばりすぎたよ・・・』と机に突っ伏してしまうことがよく見られますが、これは多くの場合、熱中症だと思います。

近年の酷暑はクーラー設置というハード面だけではなく、屋外部活動の運営や夏休みの設定期間などのソフト面に至るまで、多面的な視点が求められる問題のように思います。事故を起こさぬよう、起こした時の責任を回避出来るようなどという役人的発想ではなく、小中学生の健康を守るためにはどうしたら良いかを真剣に考えて運用してほしいと思います。