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232 塾に通う理由 ~その①~

232 塾に通う理由 ~その①~

先日卒業した生徒さん、勉強が嫌いで(ほとんどの生徒さんは勉強嫌いだと思いますが…)塾に通うきっかけもお母様に手を引かれ友達に紹介され正に『イヤイヤながら』というオーラを出しまくっていました。このケースは決して特殊なことではなく、むしろ学習塾の日常のような光景です。

実はこの生徒さん、勉強が解らなくなっているわけでもつまずきがあったわけでもありませんでした。しかし学校の成績は振るわず、自ずと『自分は勉強が苦手だ』という先入観を持っていました。しかしご存じの方も多いと思いますが、知っているだけでは得点にならず、得点にならなければ成績は作れません。この悪循環に苦しんでいたのです。

例えば数学、計算の方法は知っていても『ミスなく計算をする』為にはある程度の演習は必要です。それを怠ってしまえば計算方法が解らないのと同等な評価しか得られません。また、英語でも文法は分かっていても単語が分からなくて正解に至れず(実は最近、このケースが非常に多くなっているように感じます)結果として『文法も解らない』段階と同等に扱われてしまいます。

この生徒さん、結果的には劇的に成績を伸ばしました。元々学力はあるのであとは抜けているパーツを補い、安定した学習習慣を付けるだけで大化けすることは分かり切っていました。その時、生徒さんは『塾ってさ…難しい問題を解くことだけやっているのかと思ったよ』と漏らしていました。LS WILLの方針である『超基本問題から難問までその生徒さんに必要な問題を演習する』ことの理由を理解してくれたのかな、と思います。

確かに難問奇問ばかりを扱って『うちの塾はこんなに難しい問題をやっている』と胸を張る塾は市中数多あります。しかしそれは時代に沿ったものではありません。お考え頂きたいのですが、公立入試でそのような難問が出て、それが解けなくては合格にならないという入試にしたら現在の中学校教育は崩壊します。それ以前にそのような問題を作成すればどれほど問題視されるか… さらに教育委員会へのクレーム電話は鳴り止まなくなるでしょう。

事あるごとに述べていることですが、受験勉強は難問奇問ばかりを解くことではありません。それ以前に『絶対に取らなくてはならない問題』をきっちり得点化する、『あっ…』というミスを未然に防げる解き方をすることの方が重要なのです。

教室では学校定期テスト入試本番の学力試験は分けて考えています。定期テストではあくまでも満点を目指します。それは出題者である先生方の思いも汲み、おそらくはご自身の指導している生徒さんにはきっちり取り組めば満点が取れるように、そんな思いで作られていると信じているからです。反対に入試では合格点をクリアすれば良い、それだけシンプルに考えています。

一時期、中学入試での難問奇問が世間を騒がせ、それをクイズ番組で流して…という風潮がありました。その問題単独で見れば非常に難しい問題です。しかし・・・

これは以前中学入試の問題を作成した先生にお伺いした話ですが、合格者のうちでその難問が解けなかった生徒さんはほぼ半数いたそうです。つまりその問題が解けなくても他の問題できっちりカバーできるような作りになっているのです。反対にその難問に時間を掛けすぎて他で得点を稼げなかった生徒さんには厳しい結果となるように作っていたとの話されていました。

LS WILLでは普段の授業から問題の取捨選択を指導します。だから同じテキストを使っていても演習する内容は異なります。この問題はやるべきかどうか、自分で判断が付けられるようになれば入試で大きく崩れることは少なくなります。