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212 言葉を学ぶ

212 言葉を学ぶ

前章では日本の伝統的な言葉について述べました。本章では反対に最新の言葉について述べていきたいと思います。

言葉は時代につれて変わっていくものです。従って我々昭和世代と生徒さん方の平成後期では言葉が違って当たり前、と思います。『ら抜き言葉(見“ら”れる、食べ“ら”れる等の言葉で“ら”を抜いた言葉)』などは代表的なものです。我々が学生時代にも指摘されていた言葉ではありますが、現代ではそれらが市民権を得たように思います。

また、文章構成も伝統的な『起承転結』が劣勢となり、現在は『起承結』や『結-起承転結』などが勢いを持っています。文章構成一つを取ってみても『最初に(もしくは早いうちに)読み手の興味をつかんで最後まで読ませる』ことを狙いとしているのでは・・・

因み受験作文は従来通り『起承転結』が基本だと思います。あまり奇抜なことをやってしまうと減点となり得ることが危惧されるからです。事あるごとに記していますが、受験作文は減点法の採点です。無難にまとめることも重要な要素です。以上蛇足ながら・・・

英語も同様です。私が中学生のころ、学校の授業で『“ice” coffeeと言うのは日本語・和製英語なので海外では通じない。” cool” coffeeと頼まなければならない。』と教わったことが妙に印象に残りました。また、オードリー=ヘップバーン主演の『ローマの休日』でも新聞記者とカメラマンが街中のカフェで打ち合わせているとき、カメラマンが『Cool coffee. 』とオーダーしていた姿も印象に残って・・・

しかし、現在では世界各国で『Iced Coffee』と表されるようになっています。アメリカ合衆国のスターバックスでも同様です。(メニューに記載されています!) 元々は和製英語であったものがアジアを中心に広がり、現在は世界を席巻したのです。そう言えばもう○十年前の話ですが、香港の空港ビルにあるコーヒースタンドで『Cool coffee』をオーダーしたらコーヒーが二つ、目の前にサーブされました。つまり香港では一般的に『Iced coffee』と表現し、私の注文は『Two coffee』と聞こえたようでした。私一人だったのですが・・・

最近よく読む本の分類に『日本人が間違えがちな英語』のようなものがあります。文法的には間違っていないものの用例として欧米のネイティヴはこう解釈する、と言う内容のものです。また、文化の違いなども如実に表われており、読み物としても興味深いものです。ただ、今後ニーズが高まるアジアンイングリッシュとして捉えたときにはどうでしょうか。

アジアンイングリッシュは母国語に第二言語としての英語が定着している地域の英語を指します。そういった意味では日本の英語もそれに近い位置づけとして良いのではないでしょうか。全くの誤用は改めなくてはなりませんが、それ以外なら間違いを気にして使わないよりどんどん使ってブラッシュアップしていく方が勉強になるのではないかと思います。

そして我々大人も言葉について(だけではありませんが・・・)日々学習を重ね、情報を更新していかなければなりません。それらは次の世代・また次の世代へと文化として繋がっていくのではないでしょうか。