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97 試合放棄に思う

97 試合放棄に思う

2017年9月、関西の学連主催試合で試合放棄をするという事が起こったそうです。大学体育会において公式戦を棄権することはとてつもなく重いこと、普通に考えればあり得ないことです。

棄権したチーム、例年だとリーグ戦は日曜に行われており、大学の授業にも影響が少なかったそうです。しかし2017年度に限ってリーグ戦5戦が全て土曜日に組み込まれていたそうです。土曜日は通常授業があり、その期間全ての授業を欠席することは出来ないと考えたそうです。

アマチュアスポーツ(特に大学スポーツ)は施設使用料にあまりお金を掛けられないことから平日実施されることもよくあります。しかし近年の大学は月~土で授業が入り、出欠管理についても厳格に行われています。従って『体育会だから休んでも良い』という論理は過去のものです。

また、日常的にレポートを課す講義が多いため、それ相応の家庭学習時間確保も求められます。そうなると大学生の特権であった時間的余裕を持つことも難しくなるのは想像出来ます。そんな中で『リーグ戦を棄権する』と結論を出した部会は今後の部活動に一石を投じるものではないでしょうか。

現在でも日本における大学スポーツはトップ集団、若しくはトップを養成するためのポジションにいます。そういった環境でもこのような判断を求められる時代となっているのです。

それに引き替え…と言っては言葉が強くなりますが、中学・高校の部活動については時代錯誤の考え方がまだまだ色濃く残っているのではないでしょうか。

私の大学同期の出身校で監督による体罰事件が起こり、個人的にも関心を持って動向を注視しているものがあります。同級生は卒業生の一人として、また先輩として心を痛めていると聞いています。その高校も『試験前だろうが練習を休むことは許されなかった』と指導されたそうです。

現在の大学スポーツは競技を問わず、授業・講義優先を掲げています。これは行政指導の影響もありますが、本来部活動があるべき姿なのではないでしょうか。その考えに高校・中学校の指導者は追いつかなくてはなりません。そして高校生・中学生も学業を犠牲にした部活動は本末転倒であることに気づけなければなりません。