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74  自分で丸を付ける

74  自分で丸を付ける

LS WILLのシステムでは自分で解いた問題は自分で丸を付けます。以前、「個別指導は講師が丸を付けて当然なのではないか…」とのご提言を頂いたこともありますが、これは物理的事情だけではないのです。

最初にその物理的事情をご説明しましょう。LS WILLでは指導陣と生徒さんの比率を1:6としています。従って全ての演習問題において指導陣が丸付けをすることは現実的ではありません。

物理的ではない事情、それは教務上の観点です。自分の解いた問題を自分で丸付けをして間違えたものを正しく理解し直す行程は実は非常に重要なのです。自分で考えた筋道(解き方)と模範解答はどう違うのかをきちんと整合させることによって次に同系の問題が出てきてもきちんと解けるようにできるのです。そして解説を熟読しても理解できないものについては指導陣が手助けをするようにしています。
これを『誤答については全て指導陣が解説し、解き直しについても行ってみせる』としてしまうと(実はこれが大多数の個別指導塾で行われている授業なのですが)生徒さんは自分が問題を解いている間だけが学習時間で、丸付けや誤答解説では思考が停止していることが多のです。つまりいくらやっても身に付かないのです。実はこれ、私が旧来の個別指導塾で味わったジレンマでした。これをどうやって改善するか試行錯誤した中でベストの改善方法が『自分で〇を付ける』なのです。

また、生徒さんによってはテキスト何ページも、プリント何枚も一気に解いてからまとめて丸付けをすることが習慣になっていることがあります。丸付けの理想としては解いた感覚が残っている状態で丸付けをすることですので大問1~2問程度を区切りに丸付けを行いたいものです。解いた感覚がなくなってしまってしまうと丸付けは(特に間違えた問題の確認は)作業になりがちです。だからこそ小まめにすることが大切なのです。
この例外は過去問演習ですが、そちらについては別の機会に触れたいと思います。

さて、これだけなら家庭学習で十分対応ができるのでは…それを塾でやる理由は…
実は各自で丸付けをしていると採点間違え(〇×の付け間違え)がかなりの確率で起こります。それを見抜くのが我々指導陣の大きな仕事の一つなのです。〇×の付け間違えは圧倒的に『間違っているのに〇』としてしまうケースが殆どです。そこにどのような深層心理が隠れているのかを見極めることこそが大切なことなのです。1か所の採点間違いを見つけることは場合によっては何コマ分もの授業を実施することに匹敵する効果となるのです。その勘違い、思い違いを持ったまま次の単元に進んでいくことは非常に無駄が多くなります。それをその場で改善することは非常に重要なことなのです。

授業1コマを誤答なしで進めることを目標にする生徒さんはたくさんいます。だから『この丸は間違えているよ』と指摘することは生徒さんの不評を買うことも多いのですが… しかし生徒さんからすれば『正解と思ったのに…』という問題だからこそ真剣に見直し、次に間違えることも少なくなる傾向にあります。このことが大切なことなのではないかと思います。